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2024年度公開講座受講体験記(社会人・非エンジニア・男性)

執筆者の写真: shibanoshibano

自己紹介

私は30代の会社員で現在製薬会社の企画職に就いています。クリプトには2020年頃から個人的な投資の一環としてビットコインを触りはじめたことをきっかけに興味をもち、以降ビットコインやイーサリアムを中心に情報を追うようになりました。書籍を買って読むこともありましたが、YouTubeやXなどのSNSなどで毎日のように動向やプロジェクトを追いかたり、学習サイトや動画のハンズオンでsolidityの学習にも挑戦していました(solidityは当時、結局2,3カ月くらいやって挫折してしまいましたが...)。ただし、ブロックチェーンやプロトコルの技術的な背景はSNSなどでの解説を見てなんとなく分かった気になっているだけで、深い知識は勿論のこと、実践的なスキルは全くと言っていいほど持ち合わせていませんでした。

 

受講動機と期待

上述のような具合でクリプト関連の動向を日々追っていたところ、AstarNetworkの渡辺創太さんが2024年度のブロックチェーンイノベーション寄付講座の案内をXに投稿されていることを目にし、純粋に「面白そう」、と思ったことが受講のきっかけでした。ただ、ブロックチェーンイノベーション寄付講座のHPを見てみると、過去は起業家養成を行っていたり、エンジニアではない自分には不安のような、敷居が高く感じられ、申し込みには二の足を踏んでいました。そんな中、クリプト系のインフルエンサーのJoeTakayamaさんが東大講師の伊東さんと対談されている動画があがり、その中で伊東さんが「大学の先生の講義を聞きに行くというよりは、一緒になってブロックチェーンに関係するものをつくっていく、という気持ちできてもらえたら」とおっしゃられていたことが印象的で、かつ、動画の中やHPで非エンジニアでも参加できることを言及されており、決心し申し込みました。講座を通して技術的な理解を深めることやスキルの土台を身に着けていくことに加えて、自分と同じクリプト・ブロックチェーン好きな方と交流できればいいなという期待をもって講座をむかえました。

 

講座内容と体験

私は通学圏内であったため、対面式での受講を選択しました。ただ、現地で受けられない時にはオンラインでの受講となりましたが、リアル感を大事にしたかったので可能な限りリアルタイムで受講するようにしていました。私自身はソフトウェア系の開発が未経験であったこともあり、スマートコントラクトやzkなどの回では講義の時間内では課題を終えることが出来ないことがほとんどでしたので、週末にAIと対話しながら課題に取り組んだりもしていました。ただし、AIを活用すれば私のような非エンジニアでも課題を完結することが出来ましたので、開発行為は大変だなあという印象よりは「自分でも出来た」というある種の達成感を味わうことが出来ていました。講座を通じて特に印象に残っている項目を以下に記します。

 

ビットコイン・イーサリムの技術的な理解

講座の前半戦はビットコインにはじまり、イーサリアム2.0に至るまでいわゆるブロックチェーン技術の”根幹”にあたる部分の詳細な講義でした。完璧とは当然いえないものの、それでも一定程度の技術的な基礎を理解することが出来ました。ビットコインの仕組みやトランザクション、マイニング、秘密鍵・公開鍵・アドレス、コンセンサスなど全て単語としてはこれまでも見聞きして、プロダクトに触ってきたのですが体系的にすべてを通して学習したことはなく、基礎の基礎とは思いますが、ここから全てが始まったと考えると本当に素晴らしい学びの機会を得ることが出来たと思います。

 

スマートコントラクト・Linux・DApps開発実践編

講座の中では実践的なスキルを学べる機会もありました。solidityを中心として用いたスマートコントラクト開発、そして講座の補講として開催されたWeb2/LinuxやフロントエンドのDApps開発基礎講座、いずれも手を動かす内容でした。座学のみではなく、こうしたsolidity, Linux, Node.jsなど実際に動かし、開発業務に触れることができたことは、これまでの人生ではほぼ無かったことで、新鮮で良い刺激になりながらも、結果として、後述するグループワークにも直に役立つこととなりました。AIを活用して補助を得ながらであれば非エンジニアでも全てのカリキュラムというか課題を完結させることができ、自信にもつながる体験となりました。

 

グループワーク

受講している中ではほとんど諦めていたのですが、幸運なことに講座本篇が終わったあとにあったDApps開発のグループワークに参加することが出来ました。このグループワークはweb3に関連するアプリ開発にグループで組む、という内容でこれまで二十数回を通して行われてきた講座で学んできたことを活かす集大成となる場でした。我々のグループでは「自動車事故の履歴をブロックチェーンに記録する」という、ブロックチェーンの非改ざん性、トラストレスといった根本の役割を活かすアプリのコンセプトを作りました。メンバーはソフトウェアエンジニアが数名おり恵まれた環境でした。ただし、全員が社会人であったため時間の調整が難しく、一定期間にわたり共同でプロジェクトに取り組むことうえで様々な課題がありました。それでも最後までやり遂げられたのは、メンバー・メンターなど、人に恵まれたためであるかなと思います。グループワークの中で、solidityをつかったスマートコントラクト開発に取り組み、これまでハンズオンやコードの写経のような作業と違って、「目的をもって作りたいものを作る」という時にスキルが向上するものなのかなと実感しました。

 

受講後の変化

相変わらず情報・動向は日々追いかけているのですが、それぞれのプロジェクト・プロトコルを見るときに、どういった技術が使われているのか、革新性があれば、何がそれを実現しているのか、といった技術的な側面にも興味をもつようになりました。そして、以前は積極的には見ていなかったソースコードも、自分から確認するようになりました。全てを理解することは難しいものの、感覚として説明されていること理解できるようになったことは大きいです。

 

また、講座全体やグループワークでも非中央集権やトラストレスといった観点は繰り返し学び、議論してきましたので、こういった観点から世の中のサービス、広くは政治、経済を見る意識が強くなりました。その意味ではブロックチェーン的な思考・思想を持つようになってきているのかもしれません。 具体的に次の活動が決まっている訳ではありませんが、おかげさまでクリプト界隈でのつながりが増えてきたり、何よりも講座で学んだことを活かして自分自身で何かプロジェクトに携わっていく可能性は大いにあるなと思う次第です。

 

これから受講を検討している方へのメッセージ

受講を検討されている方にお伝えしたいことは、「不安に感じる必要はありませんよ」ということです。実際に私自身が受講を検討している際には私のような非エンジニアでも受けても大丈夫なものか、場違いにならないか、という不安を散々感じていました。公開講座のHPや伊東さんのYouTubeを何度も見て、自分でも大丈夫!と勇気づけたものでした。しかし、受講して頂いたら分かるのですが、非エンジニアに対しても丁寧な講座内容で、上で述べてきた通り、申し込み前に感じていた不安は完全に杞憂に終わりました。また、実際に手を動かして開発に取り組むことが出来る機会も豊富に用意されているので、これも取り組んでいるうちに、あ、やれば出来るものだなと感じられ開発への心理的ハードルがぐんと下がります。では一方で、ソフトウェアエンジニアの方や既にweb3関連のプロジェクトに参加されている方に物足りないものかと言うと、そうでもないのでは、というのが思うところです。実際に講座の中で知り合ったエンジニアの方に聞くところ、ビットコインやイーサリアム、スマートコントラクトについてもかなりしっかりと技術的かつ網羅的に取り扱われており、業界のコア開発者・研究者が教えて下さるので他では得難い知識を得られるとのことです。みなさまには是非講座に参加頂き、日本のブロックチェーンをつくっていく、発展に貢献していく人材になって頂きたいと願いつつ、私も引き続きこの業界に携わっていきたいとゆるい思いをこめつつ体験記の締めと致します。

 
 

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